第5期(2013,2014-2024)IKEUCHI ORGANIC の誕生
2011年8月タンザニア出張中にカンブリア宮殿から取材依頼が来て12月に放映がされると国内で劇的な知名度アップとなった。風で織るタオルが市場から消えるという大騒動は翌2012年の間ずっと続き、2013年の創業60周年を迎えた。国内では池内タオル、風で織るタオル、海外では ikt と3種のブランドが存在し、統一が必要な時期に来ていた。1999年、国内は池内タオル、2000年のアメリカ展開はikeuchitowel で始めたが、先に評価されたアメリカで ikeuchi はアイケウチと呼ばれ、誰もイケウチと呼ばないので 2001年に ikt とブランド名を変えた。これなら誰もがアイケイテイ。後にヨーロッパで展示会を始めるとラテン系にはイケテイと呼ばれたが笑って過ごした。こういう経緯の中でブランドの統一化を前提とする CI をナガオカケンメイ氏に迷わず依頼する。CIは前職のTECHNICS や四国タオル組合のSTIAでも経験しているが、絶対的な人に十分に要望を伝え、決まったことには絶対的な信頼を持って実行する事が肝と実感していたのです。弊社サイドの現状や希望を十分議論できて将来的な方向性を提示いただける自分にとって最高と信じれるプランナーに依頼したかったのです。想いを込めてお願いメールを出したら”何で僕?”と言う、そっけない返事でしたが、それがナガオカさんらしくて、熱意で納得して CI スタート。池内のお願い事項は①ブランドの統一②イケウチは外すでした。何度も何度も打合せと聴き取り、そして弊社や代表の生い立ち、習わしなどあらゆる情報の分析から最終的な提案は IKEUCHI ORGANIC そして I マーク。池内の考えるオーガニックは他とは違うイケウチ式なので池内のイケウチではないと説得される。最終提案は最初から受け入れる覚悟でいたので全てを信じてGO!でした。ブランドのお願いでしたが一層のこと社名もブランド名と一緒にしようと2013年も押し迫って決断し、決算期に合わせて3月1日社名変更の相変わらずの直感的判断となりました。イケウチ式とは精密なオーガニックという意味を込めています。I のトレードマークの黄色は一般的なオーガニックを連想させない色という事で選ばれており、そして I の上下はアールを描いており、思い切り拡大すると地球の一部分が I 。世界へ拡がると言う思いが込められております。イケウチ式オーガニックの I 、今治の I 、愛媛の I 、インターナショナルの I 。大きな夢を抱いて IKEUCHI ORGANIC はスタートしています。
アメリカンジョークだった赤ちゃんが食べれるタオル
2014年2月の New York の展示会に合わせて日本より一足早くアメリカのクライアントに社名をお披露目。パーテイの挨拶をアメリカンジョークで語ろうと飛行機の中で考えたのが、《池内タオルは60年かけて全てのタオルを赤ちゃんが舐めても大丈夫なタオルにしました。次の60年2073年までに赤ちゃんが食べれるタオルを創ります》。英語文はすっかり忘れてしまいましたが・・・。それがいつの間にか標語になってしまいました。
体験型ストアにしたい
青山のTOKYO STORE の設計にあたっては、ストアではタオルを使っていただいて好きなタオルが決まったら、色とサイズを選んでもらうというスタイルだけは決めていたので(出来ればシャワールームだったが水回りとスペースの関係で手を洗うスタイル)、洗濯機がカウンターに組み込まれることだけが必須条件で、それ以外は CI に沿ったインテリアでお任せしたのです。ナガオカケンメイ氏からイケウチ式オーガニックを語るには The BeatlesとTECHNICS 抜きには語れないということで現在のBGMのスタイルが決定しました。TOKYO STORE の開店は社名変更の2014年3月1日には間に合わず3月18日。KYOTO は同年9月13日となりました。
IKEUCHI ORGANIC と称する限りレギュラーコットンの商品は作らない!ネームタグもオーガニックに!
社名を変えたことで、一般綿の商品のオーガニック化等々解決すべきものは山積みだったが、まあ、何時ものように、やりながら考えようのスタンスでスタートダッシュとなった。弊社定番の変更は、経営者の意思決定で対応できるが、BtoB商品では調整がつかない商品はお断りするという営業的には何とも無謀なスタートを切った。ブランドネームもオーガニックにしようとすぐ対応に走ったが、組合扱いの今治タオルネームタグのポリエステルはいかんし難く、弊社でコットンネームのサンプルを作成して提案したが、組合としては採用できないという裁定で、結局は弊社商品から今治タオルネームは外す事になった。
商品のトレーサビリテイを公表したい!織布工場から食布工場へ
2015年12月繊維会社として初めて食品会社としてISO22000の取得。タオルを食べ物としてみなしHCCAPに準じて生産をするという意思表示です。弊社が使用するBIOREのオーガニックコットンはGOTSの明確なトレーサビリテイ(綿畑から綿糸そして今治倉庫まで)が確保されています。今治に到着後は撚糸、糸加工、製織、生地加工、縫製、刺繍、検品等々、弊社内だけでなく産地内の多くの加工委託会社を経て商品が完成していきます。この間のトレーサビリテイを実現したいとデータの蓄積がスタートしました。3年間のデータ蓄積ノーハウをベースに2019年の新製品から2020年からは一部の縫製商品を除くタオル製品全般のトレーサビリテイを公開するQRコードが商品に添付されています。業界では未だ弊社だけと思います。 IKEUCHI ORGANIC を欧米に導いた記念碑的モデル・ストレイツ220のQRコードミシン糸もオーガニックネームもタオルと同じオーガニック綿で内製する
純度の追求はどんどん進化します。最後の砦、タオルのミシン糸もオーガニック化すると言う無謀な計画は数年かけてのプロジェクトとなり2021年11月13日の生産以降、縫製糸も自社製オーガニックとなります。オーガニック純度は99.99あたりかな?
オーガニックネームも自社製オーガニック綿に替えようとなり2023年6月以降のネームタグは順次弊社支給オーガニック綿に代わりました。これで副資材まで弊社のタオルと同じのオーガニック綿となりました。仔細な部分までこだわる、これがイケウチ式オーガニック。
タオルメンテナンススタート
ストアでタオルを洗い続けることは現在の洗濯機や洗剤のあり方にも色々な疑問が出てきた。弊社3ストアでのタオル洗濯回数は既に8000回は超え何処よりもタオル洗濯の風合い維持に関してはノーハウを積んでいると自負している。2018年PANASONICからタオル洗濯の開発一緒にやりませんかと声がかかり2019年11月にタオル洗濯ポジション付きドラム式洗濯機が発売され、現行モデルまで必須機能として継承されている。そして2022年5月からは念願のタオルメンテナンスが始まった。自分たちが産んだタオルが数年から10年以上の経験を積んで里帰りしてくる様はまたモノづくりに新たな提案を投げかけている。弊社が1998年12月に決めた環境方針はより永く使えることが環境に最も優しいと規定しているが、夢が更に前進できたのです。
終わりのない追及心の先に2073年に赤ちゃんが食べれるタオルが待っています。
世界最高峰の熱量と厳しい視線で見守っていただけるご愛用者に支えられIKEUCHI ORGANICは3月1日で10周年。本当にありがとうございます。人生もモノづくりも真っすぐ進まなくてもその寄り道を楽しみながら前進していきます。
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by keishi_ikeuchi
| 2024-02-29 08:00
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